M YATAKE
矢岳真幸の脇道・寄り道・まわり道
鉄道懐古篇

circle地下鉄丸ノ内線
池袋駅の丸ノ内線のホームへ向かう階段は甘いような独特の臭いがした。私はそれを地下鉄の臭いだと思っていた。今では全部新車になって、そのせいかこの臭いも消えたようだが、この臭いが何であるかは今もって解らない。あるいは地下の飲食店あたりから漂ってきたのかも知れない。ホームでは赤い電車が待っていた。地下のホームは天井が低いせいも手伝ってか、普通の電車とは違った一種独特のムードがあり、何故かわくわくしたものだ。バネ仕掛けの吊り手が珍しく子供の背丈では届かないので親にせがんで捕まらせて貰った覚えがある。

茗荷谷から先は地上を走るのが面白かった。すぐぞばに車庫(小石川検車区)があって赤い電車がたくさん停まっていた。この車庫は谷間にあり一部高架構造で作られていて、その下にはコンクリートの高い擁壁と四角いトンネル状になったところに細い道が通っている。夜になると薄気味悪い場所なのだが、案の定ウルトラQだったかそんなテレビ番組のロケ地に使われていたのを思い出す。

もう一回トンネルに入って表へ出ると、独特の蒲鉾型のドーム屋根を持つ後楽園駅だ。東京ドームが出来てこのあたりの景観は一変し、蒲鉾ドームもビルに変わった。線路のすぐ脇にある遊園地の遊具は時代とともに代わっていったがその華やいだ雰囲気は今でも変わらない。次に表へ出る場所は御茶ノ水の先にある。ここは子供用の乗り物絵本には必ず登場する景勝地?で、地下鉄が一番低いところを神田川の水面すれすれに鉄橋で渡るのが面白い。ここも昔と全く同じ。

いつの間にか丸ノ内線が全通した。私は丸ノ内線の線形が不思議でならなかった。池袋から一旦銀座へ出てぐるりと廻って新宿へ出る。オマケに方南町へのヒゲ線まである。何でわざわざ遠回りして新宿へ行くのか。何で方南町なんて所が終点なのか。子供の私には何とも不可解な線だった。

return to top pagereturn to top pagego to the next page


(C) Copyright Masaki Yatake 2002. All Rights Reserved.
著作権法により著作権者に無断でこのページの内容の転載等は禁じられています。